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下北沢で暮らした一年。徒歩3分で行ける「古書ビビビ」はわたしの“お守り”だった。

下北沢に越してきて、約一年。

仕事に行き詰まったとき

ちょっといいことがあったとき

昼寝のつもりが2時間爆睡して罪悪感に苛まれたとき

無性に物欲を満たしたくなったとき

別の街から遊びに来た恋人と待ち合わせをするとき

何度も足を運んだ、あるお店があります。

シェアプレイス下北沢から徒歩3分の場所にある「古書ビビビ」です。2005年2月に「鈴なり横丁」の1階部分にオープンし、5年ほど経った頃に数十メートル離れた現在の店舗に移転しました。

マニアックな漫画や文化芸術系の本が並ぶサブカル感満載の棚もあれば、ベストセラーやZINE(ジン)と呼ばれる自費出版の冊子なども置かれていて、幅広いラインアップが特徴。平日休日問わず、たくさんのお客さんが訪れ、じっくりと本を探しています。

2019年にヒットした今泉力哉監督の映画『街の上で』にがっつり登場したこともあり、ご存知の方も多いかもしれません。(あのときの古川琴音さんのように、「古書ビビビ」でアルバイトする人生を送ってみたかった)

初めてお店を訪れたときのことのことを、今でも覚えています。

趣のあるガラス扉の本棚に、古くてやさしい本の匂い。店内には世田谷ピンポンズさんの音楽が流れ、入口正面の棚には又吉直樹さんの雑誌や、漫画家・大橋裕之さんのコーナー、レジには写真家・川島小鳥さんのサインが入った『未来ちゃん』の大きなパネル……。

ゆるやかな時間が流れる空間に、わたしの“大好き”がこれでもかと集結していて、思わずぶわぶわと鳥肌が経ちました。(心の中では叫んでいた)

▲最初の頃に買った本。いつか仕事でお会いするまで死ねないと思っている芸人・作家の又吉直樹さんが編集長を務めたマガジン『椅子』。もう一冊買って、シェアハウスのクリスマスプレゼント交換会にも出したお気に入り。

これまでに訪れてきたどの古本屋さんとも違う、絶妙な居心地の良さ。とにかく気になる本が多く、棚をじっくり一つひとつ見ていくと、気づけば腕に6〜7冊抱えているのです。(ひもじい月末にふらっと寄ってしまい、お財布と相談して泣く泣く数冊諦めたこともしばしば)

本音を言えばお店の方と世間話ができたら最高だなと思いつつ、気にしいなわたしは結局いつも「お願いします」と「ありがとうございます」以外、ほとんど言葉にできずにお店を後にしていました。

そんなこんなで約一年。下北沢を離れる前に、せっかくだからこの街に根付いた方にお話を聞いてみたい。そう考えたときに、思い浮かんだのが「古書ビビビ」さんでした。

そこで今回は、エディター活動のひとつとして、店主の馬場幸治(ばば・こうじ)さんに取材を依頼。

高校時代から本格的に本の世界にのめり込み、大学生のときに通い詰めていた書店のオーナーにスカウトされてアルバイト店長を経験。その後独立して、現在の「古書ビビビ」を運営する馬場さんに、他にはないお店の特徴や、下北沢の街で15年以上古書店を営んできたなかで感じる変化について、ゆるくお話を伺いました。

雑談のようなインタビューの様子をお届けしたいと思います。

▲ホラーサスペンス映画『テキサス・チェーンソー』のナイスなTシャツを着た馬場さん。

たった6坪からはじまった「古書ビビビ」

ーー快く取材を受けてくださって、とてもうれしいです。2005年から下北沢で「古書ビビビ」を営んでいらっしゃるとのことですが、なぜこの街を選んだのでしょうか。

馬場さん:たまたまなんです。神保町や経堂、中央線沿線のまちでも探していたんだけど、あと一歩のところで見つからなくて。シモキタは本屋や古着屋がいろいろありますし、よく遊びにはきていたんですよね。

そこでたまたま通りかかった「鈴なり横丁」の一階に空き店舗があったのですが、特に募集の紙が貼っていなくて。こういう小さいところから少しずつやれたらいいなと思いながら不動産屋を見に行ったら、ちょうどその物件と思われる募集が貼ってあったんです。本当に募集してたんだと思って。

ーーへ~! ある意味運命的な出会い。今の「鈴なり横丁」の一階は、バーやスナックが並んでいますよね。

馬場さん:そうですね。初代の店舗は、今「十七番地」という焼き鳥屋が入っている場所で、6坪くらいの大きさで始めたんです。以前あそこは2軒に分かれていて、そのうちの1軒で「古書ビビビ」をオープンしました。

ーー6坪。もともとは何のお店だったんですか?

馬場さん:スナックですね。カウンターもそのままで、当初は食器も大量に残っていて、どう考えてもスナックにしか見えない古本屋。食器の半分くらいは「ご自由にお持ちください」って外に出していたら、みんな持っていってもらえました。

ーーすごい(笑)。オープン当時はどんな感じでしたか?

馬場さん:開店した頃から、若い方から年配の方まで幅広い方に来ていただいています。当時は下北沢で古本屋というと、うちと老舗が2店舗くらいだったんです。僕はたまたま下北沢に来ましたけど、この街はたくさん人がいる割には古本屋が少ないなと思っていたので、やればちょっとは勝算があるかなとは思っていました。

でも最初は自転車操業で、生活していくのがやっとで。家賃払ったら手元にほとんど残らないみたいな、本当に情熱だけでやっていた感じですね。それは今もそんなに変わらないですけど。気づいたら、古本屋も少しずつ増えてきましたし。

本棚は、すべてお客様の本でつくられている

ーー他の古本屋さんをのぞくこともあるのですが、「古書ビビビ」さんは他と何かが違う気がして。いろんな要素があるとは思うのですが、上手く言語化できなくて。

一番違うのは、本の仕入れが全部お客様からというところかもしれません。神田や神保町の専門店は、市場でまとめて仕入れるのがメインですが、僕はやっていなくて。店内は全部、お客様から買い取らせてもらった本で、お客様につくっていただいた棚なので、そこはたぶんかなり違うと思います。

ーーなるほど。市場で仕入れることはせず、全てお客様から買い取るスタイルにしたのはなぜですか?

いや、本当は市場にも行きたかったんですけどね、正直忙しいので時間がなくて。ありがたいことに次々と本を持ってきていただけるので。今日も6件くらい買取希望の方に来ていただいて、それで手が回らないので市場に行く暇がないっていう。

ーー物理的な問題だったんですね(笑)。でもそれでこれだけ集まっているのがすごい……。しかもそれらの本が「ビビビ」を起点にまた街の中で循環していくというか。

▲漫画の棚には、高校時代からマニアックなインディーズ漫画を集めてきたという馬場さんお気に入りの作家・諸星大二郎さんの作品が。主にSF・伝奇作品を手掛ける、漫画好きの間ではレジェンド中のレジェンドらしい。気になる……。

馬場さん:たしかに、ある意味この下北沢という街の色が、本棚に表れているとは思いますね。本当にお客様のおかげです。直接店舗に持ち込んでいただくこともありますし、出張買取や宅配買取もやっていて。

最初は地元の方がほとんどでしたが、今は電車を乗り継いで来てくださったり、遠くからわざわざ売りにきてくださる方もいますね。古本を買う専門だった方が、数がたまってきたので紙袋で売りに来るみたいなこともあります。

ーーじゃあ、お客さん自身が「自分が持ってきた本が売れたぞ」みたいな楽しみ方もある?

あると思います。「この間売った本まだあるな〜」とか「やっと売れた」って喜んでるお客様もいたり。

買取希望の本は、ある程度は売れる売れないで分けていますが、なるべく幅広く扱おうと思っているので、それがこの店全体のお客様の層にも影響しているのかもしれないですね。

▲これまた馬場さん一押しの漫画家・谷口ジローさんの作品も。『孤独のグルメ』や『神々の山嶺』などの著者でもあり、ヨーロッパで最も人気のある日本人作家の一人らしい。馬場さんはほぼ全ての作品を読破しているそう。

これまた馬場さん一押しの漫画家・谷口ジローさんの作品も。『孤独のグルメ』や『神々の山嶺』などの著者でもあり、ヨーロッパで最も人気のある日本人作家の一人らしい。馬場さんはほぼ全ての作品を読破しているそう。

若者が増えた下北沢。でも、どこにでもある街ではない

ーー幅広く扱っているからこそ、マニアックさと親しみやすさが共存していて、落ち着くのかもしれないなと感じました。初代の店舗からほど近い今の店舗に移転して、トータルで15年以上お店を運営されていると思うのですが、馬場さんから見て、お客さんや街の変化を感じることはありますか?

馬場さん:あんまりよくわからないんですよね、ずーっといるから。ただ、開店した頃からお客様の層は幅広かったのですが、今はもっと広がっているかもしれません。映画『街の上で』の影響もあると思いますが、若いお客様がかなり増えた印象はあります。

今は新しい商業施設が次々とできていますし、下北沢の街全体に活気が出てきているので、うちに限らず遠方から訪れる若い方たちは増えていますよね。

ーー昔からの常連さんも変わらずいらしていますか?

来ていらっしゃいますよ。毎日のように、散歩ついでに外の棚の本を買ってくれるお客様もたくさんいらっしゃいます。お顔も覚えているので、「この本を出したらあの方が買ってくれるだろうな」みたいな。するとその方がちょうど来て「いいの出てたよ」って。僕もだいたいわかるようになっていますね。

ーー街に根付いた本屋さんっていう感じがすごくいいなあ。先ほどの話にあったように、今どんどん下北沢の街が変わっているじゃないですか。この街に長くいる方たちにとっては、何か思うところもあるのかなと……。馬場さんはいかがですか?

馬場さん:僕は、そうですね……。一時期は何もない時期が続いて、街が未完成な状態だったので、それに比べると今はちゃんと形になってきて良かったと思います。結構個性的な店が多いので、どこにでもある街になっちゃうわけではないんじゃないかなと。だからそれはそれで楽しみではありますね。

ただ僕が好きな店も何軒かなくなっているので、それはさみしいですよね。週3くらいで通っていた、ミカン下北沢の近くの「ぼくせい」というラーメン屋もなくなってしまって。

ーーわたしも好きだったタイ料理屋さんがなくなってしまってさみしいです。今もよく行くお店はありますか?

馬場さん:今はカレーの「旧ヤム邸 シモキタ荘」ばっかり行ってますね。

ーー旧ヤム邸、おいしいですよね!

馬場さん:仕事が終わったらバイクでぴゅーっと行ってテイクアウトしてます。仕事上、シモキタでご飯を食べるとすると基本的に夜になっちゃうんです。あとは「珉亭(みんてい)」もよく行きますね。生姜焼き定食がめちゃくちゃ美味いので。

ーー生姜焼きは食べたことがなかったです……! 

馬場さん:みんなラーメンや炒飯が多いですけど、生姜焼きがめちゃくちゃ美味いのでおすすめです。

ーーTwitterを拝見していると、馬場さんはオオゼキにもよく行かれているイメージです。

そうですね、1日に2回行くこともあります。だいたい棚を覚えちゃったので、変化を見てますね。「こういうのが入ってきたのか」とか。知らないプラムがあったら全部買うようにしていて。オオゼキは常に10種類くらい売っていて、今日は「光李(ひかり)」というプラムを食べてきました。

ーーオオゼキ割と好きなのに知らなかった〜! 今度プラム探しに行ってみようと思います。

街の人も、そうでない人も。みんなでつくる古書店

ーーこれから先、馬場さんのなかでお店をどういうふうにしていきたいとかありますか?

あんまり考えてないですね。ずっと考えていなくて、僕がどうとかはなくて、お客様の要望を聞きながらお客様の向いている方向に一緒にいけたらなと。けっこう雑談するので、こういう本探してるとか、こういう本おいてほしいとかを聞きながら一つ一つ決めている感じですね。こうしようっていうのは昔からあんまりなくて。

ーーじゃあ、図々しくも「こういう本読みたいけどなかなか見つからなくて……」とか馬場さんに言ってみれば……?

「じゃあそういうの仕入れてみようかな」って。もともと新刊本やZINEもこんなになかったんです。でも言われるがままに置いていたら、自然といい本が増えていって。こうしようとかはあんまり決めてなかったんですけどね。

ーーすごい。わたしも自分のZINEをつくるのが一つの目標なのですが、突然ここに持ち込んでも、置いてもらえる可能性があるんですか?

はい。というか、たぶん断ったことないと思います。たまにうちだけに置いている作品もありますね。売れなければ持って帰っていただくシステムなので、とりあえず2か月くらいはなんでもありで置いています。

ーー面白いなあ。それもまた「古書ビビビ」の色の一つになっていくというか。本当にみんなでつくっているお店なんですね。

そうですね。お客様たちにつくっていただいています。

ーーひとまずは、この場所で古書店を続けていく予定ですか?

そうですね、続けられる限りは続けていくつもりです。ずっと下北沢かどうかは何とも言えないですけど、ひとまず当分はここでやっていこうと思います。

取材を終えて

まだ夏の暑さがじんわりと残っていた取材当日。

同じくシェアプレイス下北沢のエディターであり、ビビビユーザーのPさん(山中康司さん)に撮影をお願いし、どぎまぎしながらふたりでお店の扉を開けました。

この日は特にお客さんが多く、邪魔にならないかという不安と、はじめてきちんと馬場さんとお話する緊張が相まって汗だくに。(Pさんも汗だくだった)そんななか、馴染みのあるレジをはさんで行われたインタビューは、わたしにとってとても思い出深いものとなりました。

淡々と語るなかにも、馬場さんの言葉一つひとつにはやさしさが滲み出ていて、「古書ビビビ」の内側に触れられた気がして、何だかとてもうれしくて。お話を聞きながら「ああ、もっと早く勇気を出して話しかければよかったな」と何度も考えていました。

同時に改めて思ったのは、わたしにとってここはただ古本を買うためのお店ではなく、インスピレーションを受ける場であったこと。仕事に行き詰っていても、ここに来れば創作意欲がむくむく湧いたし、普段は買わない本やZINEからヒントを得たこともたくさんありました。ありがたや。

こんなに近くにあったのだから、暮らしている間にもっともっと通い詰めればよかったな、と思ったり、まあでも別の街に引っ越しても遊びにくるもんな、と自分に言い聞かせたり。

なにはともあれ、下北沢での暮らしのすぐそばに「古書ビビビ」があってよかったなと心から思います。馬場さん、ありがとうございました。

わたしにとっての「古書ビビビ」がそうだったように、皆さんも「ここに行けば大丈夫」というお守りのような存在を、街のなかにぜひ見つけてください。

■Information

古書ビビビ

住所:東京都世田谷区北沢1-40-8 土屋ビル 1階
アクセス:小田急線/京王井の頭線 下北沢駅 徒歩4分
定休日:火曜日
営業時間:12:00〜20:00
電話番号: 03-3467-0085

取材・文 むらやまあき
撮影 山中康司

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